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中国のエンタメがアジアのハリウッドになる日も近い? 2021年は華流ブーム到来!1兆円超の中国映画市場の魅力に迫る

経済発展の著しい中国では、エンターテインメント産業も同様に勢いよく伸長しています。では、人気ジャンルや最新トレンドは、そして日本との違いはどんな点にあるのか。また、中国映画・中国ドラマ=「華流」作品は、今後日本でどうなるのかといった展望も含めてレポートしていきます。

 

約10年で中国映画のエンタメ色が強くなった理由

 冒頭で伸長していると述べましたが、中国のエンターテインメント産業が拡大しはじめたのはこの10年ぐらいのことです。もともとは欧米の映画が人気で国内作品はそこまで観られていませんでした。背景には、映画のクオリティは高かったもののマーケティングの観点が弱かったことや、才能のある作り手にそれほどの資金が投入されていなかったことが考えられます。

 それがこの10年ほどで変わりはじめ、たとえば2018年に公開された『薬の神じゃない!』は最終興収約500億円(日本円、以下同)の大ヒットを記録しました。マーケティングがどのように変わったかというと、たとえばジャンルの変革です。以前は、いわゆる歴史映画のような作品が多めでしたが、よりヒットの見込みがあるエンターテインメント性の強いジャンルへとシフトしていったのです。

 例を挙げると、2012年に公開された『ロスト・イン・タイランド』は過去にない捧腹絶倒のコメディでしたが、約190億円の大ヒットとなりました。当時の中国映画の興行収入記録を更新したこともあり、関係者に「こういう路線も良い」と思わせるきっかけとなったのです。

 人気のジャンルでいえば、欧米作品であればマーベル作品が好評です。国内作品はコメディの人気が高いですが、トレンドの移り変わりも中国は早いのでこれからも毎年のように変わっていくでしょう。ひとつ言えるのは、どんなジャンルでもその時代の中国社会を反映している作品は人気があるということです。

 象徴している作品といえば、『戦狼/ウルフ・オブ・ウォー』でしょう。これはハリウッドのスタッフを集めて製作したアクション映画で、元中国人民解放軍の主人公が某国の反乱に巻き込まれた中国人などを救うために戦うというストーリーです。2017年に公開された作品ですが約1000億円の興行収入となり、中国とアジアの歴代1位を更新しました。

 その他のジャンルに関して言えば、いまや歴史ものは映画よりテレビドラマに多く、恋愛作品も映画には少ない印象です。これは日本人とのライフスタイル・嗜好の違いかもしれませんが、中国人はせっかくスクリーンで楽しむなら、ダイナミックな映画を観たいと思うのです。そのため中国ではハリウッド的な作品も多く作られていて、昨年公開された宇宙系のSF映画『流転の地球』は750億円を超える興行収入を記録しています。こういった作品が、今後よりいっそう増えていくと思います。

 日本とのライフスタイルの違いというのは、家で視聴するのか、映画館で視聴するかで、観たい作品に違いがあるということです。前述したように、歴史や恋愛ものは家で、お金を払うならダイナミックなSFやアクションを観たいとなるのです。これは2009年に公開され、デジタル3D作品として世界的ヒットとなったハリウッド映画『アバター』の影響が大きいと考えています。実際に、『華流』という言葉を認知しており、華流作品を観たことがある日本人111名を対象に実施した「華流作品に対する認識調査」(*リンクを入れる)でも、華流作品でおすすめのジャンルとして「ヒストリー」57.7%に次ぎ、「アクション」が40.5%の結果に。日本人の傾向として華流作品には歴史を求める人が多いものの、華流作品が面白い理由として「スケールが大きい」などの回答が多く挙げられました。

「華流作品に対する認識調査」>

 

1兆円を超えた中国映画市場の背景にある米国型モデル

 中国映画市場の成長率は毎年5~6%伸びていて、1兆円を超えています。映画館は7万スクリーン以上。国土面積も人口も違いますが、日本の映画館の数は約3500なので18倍以上あります。

 アジア全体でみると、映画大国にはインドがありますが、インドは興行収入があまり多くありません。ここにはチケットの安さが関係していると思いますが、中国はインドよりはチケットの平均単価が高いので、このまま勢いを増せば、いつか中国がアジアのハリウッドと呼ばれる日も来るのではないかと思います。

 ちなみに中国のチケット代平均は60~80元で、日本円に換算すると960円程度。これは日本の約半額ですが、それでも興行収入は日本を圧倒しているので、中国はとてつもない数の人が映画を観覧していることになります。

 中国映画の制作費は作品によりますが、たとえば750億円のヒットとなった『流転地球』は約50億円弱。こういった成功事例をもとにマーケティングを強めて、制作費には妥協せずにクオリティの高い作品を作り、安定的にマネタイズしていくモデルが現在の主流となっています。

 これらのマネタイズには、銀行との協業が欠かせません。たとえば超大物俳優に出演交渉をする際に、投資家から集めたお金を銀行に預けて資金の潤沢さを証明させます。それでもNGとなった場合は資金を銀行から戻すことで、リスクを下げるのです。中国における資金集めは監督が中心に行う場合が多いですが、製作費は上昇傾向にありますし、今後ますます戦略的になっていくでしょう。一方、日本はリソースや製作費を制作委員会がグリップして資金運営していますが、中国にはそのような組織はありません。そのため、監督が銀行などと協力して安全な運営を担保しているのです。

 映画館の運営に関しても中国と日本には違いがあり、中国にはシネコン(シネマコンプレックス/複合映画館)しかありません。日本にはミニシアターや単館があり、小規模映画はそこで上映される文化もあります。そしてもし大ヒットすれば全国に広がるというチャンスがありますが、中国にはないのです。どの映画もシネコンで上映し、動員が少なければすぐに打ち切りとなる厳しい世界です。

 理由は、次の作品が控えているから。映画の本数自体も増えているため、ストックは潤沢にあるのです。つまり、利益率の悪い作品の上映はすぐに打ち切りとなり、より売れるものに変えていくというシステムなのです。

 背景にはITと連動したチケット購入システムも関係しています。日本の場合はそれぞれの配給会社が独自の販売網をもっているケースが多く、表に出ない数字もあると思います。中国の場合は垣根がなく、ランキングや動員数などのデータが映画情報やチケット代とともに一覧表記されてアプリから購入するシステムが主流なので、競争が起こりやすいともいえます。

 

海外市場向けのマーケティングが華流発展のカギとなる

 ネットフリックスをはじめとするVODの拡大によって、日本でも華流が浸透してきています。ただし、それはまだ一部。映画だけでなく音楽やタレントも、欧米のカルチャーに比べれば、華流はまだ日本に一般認知されていません。「アジア映画を見たことがある人」111名を対象に実施した「華流作品の認知度に関する調査」(*アンケートリリースが先の配信の場合、リンクをいれる)でも、華流作品が日本映画や、韓国映画よりも興行収入的にも高い人気を誇る映画があることを認識している人は39.6%に留まり、約6割の人は知らないことが明らかになっています。

<華流作品の認知度に関するアンケート調査>

 

 課題のひとつに、プロモーションをしきれていないという問題があるでしょう。前述した大ヒット映画にしても、それだけ人気の作品が中国にあるということを、日本の方々にはあまり知られていないと思います。クオリティも作品数も中国内ではあふれているのに、まだまだ日本には伝わっていないのです。

 

 また、海外市場へ向けた作品制作やマーケティングは、中国ではまだまだこれからというのも課題です。その点で長けている国は、韓国のエンターテインメントです。これは海外へ向けたコンテンツ作りとアプローチを戦略的に行ったからでしょう。ただし中国エンターテインメントの勢いはさらに加速していきます。世界的な映画賞に輝けば注目度も上がるでしょうし、これからも目が離せません。